提出期限がありますのでよく注意して期限を守りましょう。
会社設立登記後にも必要な手続きがあります
法務局に設立の登記をすることで会社は設立します。しかし、これですべての手続きが終わったというわけではありません。登記後の様々な手続きが必要なのです。たとえば、事務所を借りたり、事務用の用品や機器を用意したり、機械を購入したり、従業員を雇用したり、営業活動を展開したりと、様々です。また会社が行う事業やよっても手続きは異なります。会社の事業によっては役所の許認可や担当機関への届出を要するものもあります。このようにさまざまにある手続きですが、特に役所等への届出につきましては原則として提出期限があります。ですから、その期限までに届出なければなりません。提出期限に遅れてしまうと、あとで余計な手続きが必要になったり、罰金などの罰則が適用されることもありますので十分な注意が必要です。
労働保険や社会保険の届出
会社を設立しても原則として役所のほうから社会保険や労働保険の適用になることを教えてくれるわけではありませんので、事業者側から役所に知らせなければなりません。設立した会社(代表者や担当者)が自ら届出をするのです。担当の役所は①労働者災害補償保険(労災保険)、②雇用保険、③健康保険・厚生年金保険の3つで、それぞれ異なります。新しく会社(社会保険では事業所)を設立した場合に、まずどの役所に行ったらよいか迷うところですが、順番が決まっていますので注意しましょう。労災保険の保険関係成立の手続きを最初に行い、次に雇用保険の加入手続き、最後に社会保険(健康保険と厚生年金保険)の加入手続きの順番です。
労災保険の加入手続き
まず、最初に行いますのが、労災保険の加入手続きです。会社を設立して1人でも労働者を雇用した場合、その会社は強制的に労災保険にします。労災保険の担当役所は労働基準監督署です。労働者を雇用するとその事業は「適用事業」に該当しますので、適用事業報告を労働基準監督署あて提出します。そこで、会社を設立した場合は、原則として保険関係成立の日(労働者を1人でも雇用した日)から10日以内に、労働保険保険関係成立届を設立した会社の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。労災保険と雇用保険はそれぞれの担当役所が異なりますが、一般的にまとめて労働保険といます。労働保険の保険料は概算で前払いが必要です。ですので、労働保険概算保険料申告書も提出します。この申告書の提出期限と保険料の納付期限は、保険関係が成立した日から50日以内となっています。保険関係成立届と同時に提出するようにすると手間が省けます。なお、労働保険保険関係成立届、労働保険概算・増加・確定保険料申告書に添付する主だった書類には次のようなものがあります。
①登記事項証明書(法人の場合)
②賃貸借契約書
③労働者名簿
④賃金台帳
⑤就業規則(使用する従業員が常時10人以上となった場合)
⑥時間外労働及び休日労働に関する協定届
労災保険の労働者には、正社員はもちろん、パートタイマー、アルバイト、日雇労働者などすべての労働者を含みます。外国人にも原則として適用されます。労災保険は労働者保護のための保険ですから、労働者の雇用形態の如何に関わらず適用されます。
雇用保険の加入手続き
労災保険の加入手続き終了後は、所轄公共職業安定所(ハローワーク)に、雇用保険適用事業所設置届を提出します。この届出には労働基準監督署で返却された労働保険関係成立届の控え(事業主控え)を添付します。適用事業所設置届は、会社を設立して、雇用保険の加入義務のある労働者を雇った日の翌日から10日以内が提出期限です。また、雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届とともに提出する添付書類の主なものとしては、次のものがあります。
①登記事項証明書
②労働者名簿
③賃金台帳
④出勤簿
社会保険の加入手続き
会社を設立すると、労働者が1人もいなくても(社長1人でやっている会社であっても)社会保険(健康保険と厚生年金保険)に加入する義務があります。この点は、従業員が5人以上になった時に初めて加入義務が課せられる個人事業と大きく異なります。加入の手続きは、健康保険厚生年金保険新規適用届、保険料納入告知書送付依頼書を提出します。提出先は所轄年金事務所です。また、これに併せて加入者(加入後は被保険者)についての健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届も提出します。加入者に配偶者や子などの被保険者がいる場合には健康保険被扶養者(異動)届を提出します。届出に添付する書類の主なものは次のものです。
①登記事項証明書
②賃貸借契約書
③源泉所得税などの領収書、決算書、総勘定元帳
④給与規定
⑤年金手帳
⑥労働者名簿
⑦出勤簿(タイムカード)
⑧賃金台帳
⑨健康保険被扶養者届には非課税証明書、在学証明書などを添付