非公開会社であれば取締役・監査役・会計参与の任期を10年に伸長できます。
取締役の任期について
株主によるチェックの必要性の度合いに合わせて、取締役の任期は次のように定められています。
①取締役の任期の原則
取締役に選任されてから、2年後に行われる株主総会が終了するまでです。たとえば、平成25年6月に取締役として選ばれた場合は、平成27年の株主総会が終了するまでが任期になります(会社の決算日が3月31日で株主総会が6月の場合)。ですので、平成27年の株主総会において新しい取締役の選任が必要になります。なお、この時に選任される取締役は従前の取締役と同一であってもかまいません。
②非公開会社の取締役の任期
非公開会社の取締役の場合、原則は①と同様に2年です。しかし、定款に定めることで、取締役として選ばれてから、10年後に行われる株主総会が終了するまで、任期を延長することができます。
監査役の任期について
監査役に選任されてから、4年後に行われる株主総会が終了するまでです。監査役の職務は取締役の業務執行を監査することです。会社の適正な経営のためにも監査役は経営陣から独立して職務を行うことができなければなりません。このため監査役に任期については、取締役よりも長期間であり、定款で任期を短縮することもできません。非公開会社の監査役の任期は4年ですが、定款に定めることで、監査役に選任されてから、10年後に行われる株主総会が終了するまで延長することもできます。
任期は長ければよいわけでもない
役員の任期を長くしておくということは、その間、役員の変更を行わずに済むということですから、変更登記に伴う費用や手間がかからずに済みます。1人で会社を設立した場合であれば、自分が役員ですから任期を長くしておくにこしたことはないでしょう。しかし役員の任期が長いと困ることもあります。役員が複数名いた場合です。意見の対立や仲たがいしてしまった場合でも、任期が終了するまでは解任できません。強制的な解任もできるのですが、役員報酬を払っていた場合、任期終了までの報酬の賠償義務が生じます。そのため、複数名の役員がいるような場合に役員の任期はよく検討したほうがよいでしょう。
【定款の記載例】
(任期)
第〇条 取締役及び監査役の任期は、選任後10年以内の最終の事業年度に関する定時株主総会の終結の時までとする。
取締役等の任期の伸長記載のポイント
この例は、非公開会社において、取締役と監査役の任期の伸長する場合の規定です。なお、定款で定めなければ、任期伸長の効力はありません。