発起人がいないと会社は設立できない
発起人とは
株式会社を設立する際には、設立手続きを実際に行う発起人を必要とします。発起人とは、定款に発起人として署名したものです。発起人の氏名・住所は、定款に必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項)であり、記載を欠く場合には定款そのものが無効になります。発起人の意図次第で会社の事業目的などが決まり、会社の設立をめざして事務手続きが進められます。発起人は、最低1株引き受けて、設立事務を行います。ですから、発起人が1人もいない場合には、株式会社の設立はできません。定款には下記の【定款の記載例】のように、発起人の氏名・住所とともに発起人の引受株数も記載します。
発起人にはどんな権限があるのか
発起人は、設立中の会社の執行機関ですが、なんでも自由に設立中の会社のために活動できるわけではありません。一般には、定款作成など「設立を直接の目的とする行為」や、設立事務所の賃借や事務員の雇用など「設立に必要な行為」は、発起人の権限内の行為であると考えられています。その他、営業をするための原材料や商品の仕入れ(開業準備行為)について発起人ができるかどうかは意見がわかれていますが、1人で会社を設立する場合には、発起人がそのまま取締役になりますので問題はないと考えられています。
発起人の権限 |
具体例 |
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設立を直接の目的とする行為 |
定款作成など |
設立に関する行為 |
設立に必要な行為 |
設立事務所の賃借、事務員の雇用など |
設立に関する行為 |
開業準備行為 |
原材料の仕入れ、機械の購入など |
営業に関する行為 |
営業行為 |
商品の販売、サービスの提供など |
営業に関する行為 |
【定款の記載例】
(発起人の氏名、住所及び引受株数)
第〇条 発起人の氏名、住所及び引受株数は次のとおりである。
住所 福岡県福岡市中央区舞鶴2丁目3番20号
普通株式〇〇株 東原正宗
発起人の氏名、住所記載のポイント
【定款の記載例】では、発起人の氏名・住所の他引受株数を記載した条項です。引受株数は絶対に定款に記載しなければならない事項ではありませんが、通常、発起人の氏名・住所とともに記載します。なお、定款に記載する発起人の住所は、印鑑証明書に記載している住所と同じものにします。