取締役会非設置会社では代表取締役を選任するかどうかは会社の自由です。
代表取締役とは
代表取締役は、会社の業務を執行し、会社を代表します。一般的に、株式会社には、代表取締役を必ず設置しなければならないと思われがちですが、取締役会非設置会社では代表取締役の設置は任意です。まず、原則として、取締役会非設置会社で取締役が複数名いる場合は、個々の取締役が業務を執行し、会社を代表します。ですが、株主総会の決議、あるいは、定款または定款の定めに基づく取締役会の互選により、取締役の中から代表取締役を定めることも可能です。取締役による互選で代表取締役を定める場合は、ページ下部の【定款の記載例】のように、取締役の互選によって代表取締役を定める旨を記載します。現実に会社を経営していく場合、他の会社等と取引をするにあたっては、代表取締役が選任されていなければならないことが多くありますので、複数名の取締役がいる場合は、代表取締役を定めておくとよいでしょう。
代表取締役の行為の効力
会社の業務を執行し、会社を代表する権限を持つ代表取締役は重責を担う地位にあります。その行為には、以下のような効果が与えられています。
代表権の制限
代表取締役の代表権に取締役会や株主総会の決議によつて内部的な制限を加えたとしても、善意の第三者(代表権が制限されている事を知らない第三者)に内部的制限を主張することはできません。代表取締役には会社を代表する一切の権限があると信頼して取引を行っている相手方に対して、代表権の制限を主張できるのであれば、相手方に不測の損害を発生させるおそれがあるからです。
第三者に対する責任
代表取締役が職務を行うにつき第三者に損害を与えた場合は、会社は損害を賠償する責任を負います。
代表権の濫用
代表者が自分や第三者の経済的な利益を図ることを目的にして代表権を行使した場合(代表権の濫用といいます)は、その行為は無効になることもあります。取引先などの相手方が代表権の濫用を知っていた場合または知らないことについて過失があった場合には、代表行為は無効であるとする判例があります。
決議にもとづかない行為
代表取締役が株主総会や取締役会の決議に基づかない行為をした場合、その効力はどうなるでしょう。取締役会決議がないことを取引先などの相手方が知り、または知るべきときには、無効とするものなどの判例があります。
【定款の記載例】
(社長及び代表取締役)
第〇条 当会社に取締役2人以上あるときは、取締役の互選により代表取締役1人以上を定めることとする。
2 当会社を代表する取締役は、社長とする。
代表取締役選任記載のポイント
この例は、取締役会を設置しない会社において、取締役の互選により代表取締役を定める場合の規定です。