現物出資が認められるための条件とは
現物出資をする場合、財産評価は低くする
現物出資というのは、株式を引き受ける際、金銭以外の物をもって出資することです。現物出資をする場合、目的物が過大に評価されると会社の財産的基礎を害し、また、他の株主との間で不平等になるおそれがあります。たとえば、実際の価格は1000万円である土地が3000万円と評価されて出資され、会社がその5000万円に相当する株式を与えた場合、2000万円分については会社財産が満たされなかったことになります。そこで、現物出資がある場合には、定款に記載しなければならず、また、原則として裁判所が選任する検査役の調査を受けなければならないとされています。
検査役とは、現物出資の額が過大に評価されていないかどうかを調査する者で、通常は弁護士が選ばれます。検査役の調査の結果、現物出資が不当とされた場合、発起設立の時は裁判所が定款を変更します。定款には、定款の記載例のように、現物出資者の氏名、出資の目的物、現物出資者に与える株式を記載します。とくに、出資の目的物については、記載例のように具体的に記載するとよいでしょう。定款の記載や検査役の調査など、前述の要件をみたさない場合には、現物出資は無効になります。もっとも、次の場合には、検査役の調査は不要になります。
①弁護士や税理士などから、定款に記載された現物出資の目的財産について、価額(価格)が相当であると証明を受けた場合
②定款に記載された価額の総額が500万円以下である場合
③目的財産が証券取引所で売買されている有価証券(株など)であり、定款に記載した価額が市場価格以下の場合
【定款の記載例】
(現物出資)
第〇条 現物出資者の氏名、出資の目的である財産、その価額及びこれに対して与える
株式は、次の通りとする。
1 現物出資者の氏名 〇〇〇〇
2 出資の目的である財産の表示及びその価額
〇〇自動車製2tトラック1台(年式 平成〇〇年式)
価額〇〇〇万円
3 これに対して与える株式の種類・数
普通株式 〇〇株
現物出資記載のポイント
本例は、金銭以外の財産を出資(現物出資)する者がいる場合に置かれる規定です。現物出資については、①現物出資者の氏名または名称、②出資の目的である財産、③その価額、④これに対して与える株式を記載しなければなりません。